法学勉強日記−雑記

法学部としての勉強内容を中心に、自分の思考整理に利用しています

天皇機関説と国家法人説を分かりやすく論述する

明治憲法を立憲的に運用する、すなわち明治憲法によって国家権力を制限して国民の権利を保護することを学的に支持・正当化したのが立憲学派の天皇機関説である。

まず、天皇機関説国家法人説を前提とする。国家法人説とは、国家は一種の法人であり、法的権利すなわち統治権の主体であるが、国家そのものは抽象的な概念であるため、具体的な各国家機関(君主、議会、裁判所など)を通して統治権を行使するという考え方である。

天皇機関説においては、統治権は「国家そのもの」に属するとし(国家法人説)、天皇は国家の「最高機関」であるとした。その意味で天皇の意思は「最高機関意思」すなわち「主権意思」であるのだが、重要なのは国家機関である以上、天皇といえども機関権限を定める法的ルール、すなわち憲法の定めるルールに従って統治権を行使しなければならないとしたことである。

これは統治権が「天皇その人」に属するから、憲法のルールに影響を受けないとする天皇主権説と真っ向から対立する考え方であった。